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Junior Pilot エアポート’04

アメリカ映画 (2005)

撮影時11才位のジョーダン・ギャレット(Jordan Garrett)が主演する航空パニック映画。そかし、それにしても、邦題の「エアポート‘04」はひど過ぎる。これでは、誰も、子役が主役だとは思わないだろう。原題に忠実に訳せば「少年機長」となる。少し安っぽいが、映画の中味は一目で分かる。10才の少年がボーイング777を手動で操縦するという設定は奇想天外で、同種の映画が2度と作られるとは思わないが、それだけになかなか楽しめる。

リッキーことリチャードは、すぐに空想の世界にひたる少年。そして、父が航空整備士だったこともあり、飛行機が大好きで、フライトシュミレーションにのめり込んでいる。その彼が、音楽のクラスの交歓演奏でロスからワシントンまで飛行機で行くことになり、ボーイング777に搭乗する。しかし、待ち受けていたのは、拳銃を所持する怪しい男、億万長者の誘拐された孫娘、さらには、偶然の積み重ねで操縦不能に陥った機長と副操縦士という絶体絶命の状態。ロックされて開かない操縦室に、通気孔から何とか潜り込み、墜落寸前の飛行機を操縦して無事着陸させるまでがスリリングだ。途中に何度も挿入される空想癖のシーンが興をそいでいるのは残念だが、割切って見れば結構ハラハラして面白い。

ジョーダン・ギャレットは、TVを中心に活躍したごく標準的なハリウッドの子役。それなりに可愛く、それなりに上手だが、残念ながらそれで終わり。この映画も劇場公開作ではなくビデオ販売用だ。もう少しちゃんとした映画に出ていれば違っていたかも。


あらすじ

朝からフライト・シュミレーターに熱心で、空想癖も手伝ってアンデスを遭難飛行中だったリッキーは、父にスイッチを切られてやっと現実に引き戻される。上半身裸で、飛行帽だけ被っている。ソフトのパッケージを見ながら、父が「本物そっくりか?」と尋ねると、「すごいよ。この第4版は3Dで、航空管制もリアルなんだ」。「お前が大きくなる頃には、パイロットなしで自動で飛んでるかもな」「荷造りは?」。「終わってる」。「何が一番見たい?」。「もち、スミソニアン」「ライト兄弟の飛行機、アポロ、スピリット・オブ・セントルイス号…」。リッキーは、学校の演奏旅行で、ワシントンに行けるのを楽しみにしていた。しかし、学校に行くと、コーチが、予算カットでアート・プログラムが打ち切られ、演奏旅行の旅費はゼロになったと告げる。幸い、LAフィルが10人分の航空券を寄付してくれたとも。話の最中、空想癖で指揮者になってしまい立ち上がったリッキー。元々、リッキーが嫌いなコーチは、何が言いたいかと嫌味たっぷりに尋ねる。一瞬戸惑ったリッキーは、黒板の一番上に書かれたスミソニアンのスペルが違うと言ってしまう。コーチは自分で書いたスペルを直し、黒板に書いてあった10人の名前の中のリッキー(R.Bernard)の名を消すと、「おめでとう、9名の諸君」と冷たく告げる。
  
  

音楽の補助教員の女性から事情を聴き、憤慨する父。「あのドジ野郎か。バスケの決勝戦で5回連続フリースローを失敗した奴だ」「スペル・ミスを指摘したからノーだと!」。そして、航空会社で働いていたので航空券を安く買えると打ち明ける。そこで、補助教員の勧めで、父子でワシントンに行くことに。リッキーは、「行けるぞ」「ワシントンへ。2人でだ」と言われ喜ぶが、もう空想はなしと約束させられる(全然 守られないが)。空港の搭乗待合室では、億万長者の孫娘が屋敷から失踪し、同時に貴重なインカの黄金の仮面もなくなったとのニュースが放送されている。リッキーは、待合室を見回っている間に、拳銃を持った怪しい男(日系人)も発見した。飛行機に搭乗し、コーチとばったり会うリッキー。「ここで何やってる? 君は、ここにいないはずだが」とコーチ。「でも、トロンボーンがないと…」。「私をバカにしてるのか?」。そこに父が現われ、「バカだろうが どうだっていい」「これは予算ひいては航空券の問題だ」「昔なにがあったにせよ、息子を外すような真似はするな、このドジ野郎」。
  
  

ガラ空きなので、友達と後方の席に座るリッキー。待合室にいた怪しい男が、機体最後部近い席に座る。それを見て、「僕たちの命がかかっているかも」とリッキー。「そんな話、聞きたくない。お前の空想でいつもトラブルだ」。リッキーが、「ちらとでも見ろよ。上着が膨らんでる。銃だ」と言っても全くとりあわない。しかし、それを後ろの席で聞いていた悪ガキが、「銃って何だ、オタク野郎」と興味を持つ。「それって超ヤバイぞ。飛行機の中だからな。銃はどこだ?」。左胸の下を叩くリッキー。後ろを振り返って「膨らんでるな。モノは見たのか?」。「ああ」。悪ガキに引っ張られて男のそばに行く2人。「奴のそばで、つまづいて転ぶんだ」。「やだよ、自分でやれよ」。「奴に何ができる」。「僕を撃てる」。「なら、そばを通る時、注意深く見るんだ」。結局、行かされるリッキー。偶然、男の前で、トイレ帰りの友達とすれ違った時、足につまづいて2人とも転倒。友達は拳銃をバッチリ見る。リッキーは、男に対し謝罪と弁解だ。
  
  

友達も納得し、「誰かに言わないと。大人にさ」と言うが、リッキーは「誰も信じないよ」。そこで思いついたのが、友達が持ち歩いている激辛ソースの詰合せ。「危険・毒」というシールが貼られた黒い箱の中には5つのソースが。その中から友達が手渡した1本。「これ使ったら、あいつきっと死ぬぞ」「殺人罪になっちゃうかもな」。「正当防衛さ」。問題はどうやって機内食に振りかけるかだ。そこで機内でフード・ファイト(食べ物の投げ合い)を仕掛け、その隙に乗じてたっぷり振りかけるリッキー。食べ始めた男は顔を真っ赤にし、口をぬぐって必死。それを見ていたリッキーは、悪戯の犯人だと気付かれてしまう。
  
  
  
  

リッキーは、「隠れないと。急いで」と機内を移動するが、口を洗うため必死にトイレを捜す男の邪魔をしてしまい、「首をへし折ってやる」と睨まれる。そこで座席の下に潜り込んで隠れることにする。何とか激辛後遺症から直った男は、さっそく悪戯坊主の捜査を始める。実はこの男、連邦航空保安官だったのだ。イスの下から下へ移動するリッキー。それを何かのゲームだと思ったガールフレンドも参加。「スリルあるわね。悪いことするって」。リッキーの捜査にはチーフパーサーも参加。結局、機内の様子に詳しいリッキーの提案で(父が飛行機の元・整備士)、友達3人と貨物室に隠れることに。スーツケースでバリケードを築き、姿を隠す。
  
  

すると、そこに誰かが降りて来る。不安がるみんなを黙らせ、スーツケースの隙間からこっそり監視するリッキー。すると、その人物はバッグからインカの黄金の仮面を出して確かめ、持ち去った。リッキーは、その人物を “あの男” だと信じ込んでいるので、パーサーとぐるになった誘拐事件だとみなす。しかし、携帯で、「機内で誘拐犯を見つけた」と警察に電話しても、子供なので悪戯だと思われ、相手にされない。
  
  

そこで自ら行動に出るため、再び客室へ。ロスから乗り込んだ心臓移植患者のベッドの下が一番広いのでそこに隠れる。その時、機体が激しく揺れて、ベッドから顔が一瞬覗いたが、それは男性ではなく、TVで流れていた失踪少女だった。ようやく事態を正しく把握したリッキー。ベッドの下から這い出て、ベッドを引っ張る。そして、乗客に向かって、「アン・ドーチェスターだよ。こいつら誘拐犯だ」と呼びかける。看護婦を装っていた誘拐犯は、拳銃を取り出して脅すが、エアポケットに入った衝撃で落としてしまう。しかし、医者を装っていた誘拐犯が振りかざした強力な睡眠剤入りの注射器の方は、様子を見に来た副操縦士に刺さってしまい昏睡状態に。誘拐犯は、駆けつけた連邦航空保安官に取り押さえられ、リッキーが仮面を取り出して見せ、めでたしめでたしのはずだった
  
  

しかし、副操縦士が出て行った後、エアポケットの衝撃で操縦室のドアにロックがかかり、それを外そうと機長が席を立った途端にまたエアポケット。機長は頭を打って昏倒してしまう。飛行機は、かくして、操縦する者が誰もいない状態で、飛行禁止空域へと向かっていく。防空総指令部では、緊急招集がかかり戦闘機F16を発進させる。その頃、機内では、機長との連絡が取れず、副操縦士も昏睡状態のため、操縦室のドアのロック解除が最重要課題になっていた。窓から外を見たリッキーは戦闘機の接近に気付き、「F16がいる」と知らせに走る。
  
  

F16から、操縦室に誰もいないとの報告を受けた指令部では、飛行機が市街地に向かっているため、ミサイルで撃墜するとの決断を下す。しかし、幸い都市部への墜落の可能性はなくなり、撃墜は直前で中止。ただ、飛行機が海に向かって突っ込んでいくことに変わりはなかった。操縦室前では、パスワードを入れてもヒューズが飛んでいてドアが開かない。リッキーは、任せておけないと、荷物室から火災時の通気孔を通って操縦室に潜り込む。リッキーが何とか席まで辿り着いた時、眼前に海面が迫っていた。急いで操縦席に座り、機首を上げる。このくらいは、フライト・シュミレーターで慣れているのだ。そこに、他の2人も潜り出てくる。
  
  

操縦室の前では、父が、機長の意識が戻ったかと喜ぶが、「ドアを開けて」の要請に、「忙しいし、開け方知らない」という息子の返事で愕然とする。一方F16からは、子供が見えますとの報告が入る。「小さな女の子が手を振っています」。指令部も愕然。ここで、リッキーは飛行機の向きを変えるため180度旋回する。しかし、内側からドアを開けようとした女の子が、うっかり燃料放出ボタンを押してしまう。そして機内では、ステュワーデスが、機内放送でうっかり、「パイロットの方はみえませんか」と訊いてしまい、思わずしまったという顔。乗客は、真っ青だ。操縦室には指令部からの無線が入る。リッキーはスイッチを入れるが、その後友達に言った言葉が指令部に筒抜けに。てっきり混信だと思い、「誰だ? すぐ切れ、緊急事態だぞ」と将軍。「賛成。緊急事態だよ」とリッキー。「からかうんじゃない。切るんだ」。「こちらトランスグローバル40便」「50人以上乗ってる」「僕のデータだとアンドリュー空軍基地がベストなんだけど」とリッキー。名前を訊かれ、「リチャード・バナード機長」と答える。「じゃあ、パイロットなのか?」。「はい」「ボーイング777で1000時間以上」。ここで、父からの「ドアを開けろ」の声に、「今、無理だよパパ」。混乱する司令部。「何歳だ?」。「10」。「1000時間は?」。「ハリウッド航空のフライト・シミュレーションだよ。最新の第4版」。司令部から基地はダメだと言われたので、リッキーはメトロ空港を希望する。そして、操縦を支援してくれる人を出して欲しいと頼む。
  
  
  

ようやく燃料流出に気付いたリッキー。あと4600ポンドしか残っていない。メトロポリタン空港の管制塔では、経験豊富な機長が待ち構えている。燃焼が少ないので直線進入しようとするが、無断で離陸した上院議員の小型機に邪魔されて、失速しそうになり、「そこで何してるのさ? 着陸してたのに。誰もいないの?」と怒るリッキー。「よくやった、もう一度試そう」と言われ、「完全にやり直すのには、燃料がもたないよ」とリッキー。機長は手動操縦に切り替えるしかないと考え、「手動で飛ばせるかい?」と訊く。「分からない」と悲壮な顔で答えるリッキー。でも、やるしかないので、高度600フィートで右に急旋回、それが終わると左に急旋回。幸い、正面に滑走路が見えた! そこで自動操縦に切り替え、着地。逆噴射し、届かない足で必死にブレーキを踏んで見事に停止。操縦室の前で大喜びする父や保安官。管制塔の機長は、「偉い! 何て子だ! 立派だった! 最高の操縦だった!」と讃える。
  
  
  
  

父には「お前のことが誇らしいよ」、コーチからは「フットボールをやらなくても、ヒーローになれる。教わったよ」と言われたリッキー。待ち構える大勢の報道陣の前で、億万長者に「もし、ご褒美がもらえるなら、アート・プログラムの復活して。先生達が僕らに音楽を教えられるようにして」と頼む。この要請は、億万長者にも報道陣からも大きな拍手で受け入れられた(がっかりしたのは父親だけ)。リッキーは、保安官の肩にかつがれ、思わず「やった」と手を挙げる。
  
  

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